贈与税の配偶者控除

2023.04.24  [Mon]

国際税務及び資産税を専門に取り扱う、村田綜合税務会計事務所です。
今回は、最近問い合わせを受けることの多い、贈与税の配偶者控除について紹介致します。

1. 概要/Overall

夫婦の財産は夫婦の協力によって形成されたものであるという考え方があり、夫婦間においては贈与の認識が薄いこと、また、配偶者の老後の生活保障を意図して贈与する場合が多いことなどを考慮し、夫婦間で行われる自宅などの居住用不動産の贈与については、贈与税を軽減する制度が設けられています。

具体的には、婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、国内にある居住用不動産または居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合には、その贈与を受けた居住用不動産等の課税価格から最高2,000万円まで贈与金額から控除できるというものです。なお、この配偶者控除は同じ配偶者からの贈与について一生に一度しか適用を受けることができません。

2. 適用要件

① 婚姻期間が20年以上の配偶者からの贈与であること。

② 配偶者から贈与された財産が、居住用不動産であることまたは居住用不動産を取得するための金銭であること。なお、家屋と敷地は一括して贈与を受ける必要はなく、居住用家屋またはその敷地のみの贈与の場合も対象となります。

③ 居住用不動産を取得した場合には、その贈与を受けた日の属する年の翌年3月15日までに受贈者が居住し、かつ、その後も引き続き居住する見込みであること。

④ 居住用不動産を取得するための金銭を取得した場合には、その受贈者が、その金銭の贈与を受けた日の属する年の翌年3月15日までに、その金銭によって実際に居住用不動産を取得し、かつ居住した上で、その後も引き続き居住する見込みであること。

3. 手続き

申告期限内に納税地の所轄税務署に贈与税の申告書を提出する必要があります。贈与税額が生じない場合でも申告が必要です。

4. 留意点

① 贈与税の配偶者控除相当額は、相続開始前3年以内(注)に贈与を受けた財産の相続税の課税価格の加算から除外されます。

② 配偶者控除の2,000万円は基礎控除額と合わせて2,110万円まで非課税として贈与することが可能となります。

③ 店舗兼住宅の贈与を受けた場合、居住用部分から優先的に贈与を受けたものとして配偶者控除を適用して申告することができます。また、居住用部分がおおむね 90%以上の場合には、全て居住用不動産として取り扱うことができます。

④ 居住用家屋の敷地のみ贈与を受ける場合、夫または妻が居住用家屋を所有していること、若しくは贈与を受けた配偶者と同居する親族が居住用家屋を所有していることが要件です。

(注)令和6年1月1日以後の贈与については「相続開始前3年以内」から「相続開始前7年以内」に改正されます。

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