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国外の銀行預金利息の申告について
大阪市都島区に事務所を構える、相続・国際税務を専門とする村田綜合税務会計事務所です。
今回は海外の預金口座を持つお客様から相談を受けることの多い、海外の預金利息に関する日本の確定申告義務についてまとめたいと思います。
特に、日本とは異なり、オーストラリアなど特定の国では、利率が高率となるケースも多いことから、所得額が大きくなる場合もございます。
まずは、所得税の納税義務者についてです。
(1)所得税の納税義務者及び課税所得の範囲
所得税の納税義務者は、以下の三種類に分類されます。
・居住者(永住者):日本国内に住所を有する者もしくは日本国内に現在まで引き続き1年以上居所を有する者で、非永住者以外の者
・居住者(非永住者):日本国籍を有さず、かつ過去10年以内において、日本国内に住所又は居所を有していた期間の合計が5年以下である者
・非居住者:居住者以外の個人
また、それぞれの納税義務者に応じて、課税所得の範囲は以下の様になります。
・居住者(永住者):国内および国外において生じたすべての所得
・居住者(非永住者):国外源泉所得以外の所得および国外源泉所得で日本国内において支払われ、又は国外から送金されたもの
・非居住者:国内源泉所得
(2)国外預金の利息について
①所得税法上の取扱い
日本の所得税法上、国外にある営業所、事務所その他これらに準ずるものに預けられた預金の利子は、国外源泉所得となります(所法95④六ロ)。
②租税条約の取扱い(例:日本ーオーストラリア租税条約)
租税条約11条②において、「利子に対しては、当該利子が生じた一方の締約国(例:オーストラリア)においても、当該一方の締約国において租税を課することが出来る。その租税の額は、当該利子の額の10%を超えないものとする。」とされており、オーストラリアに一定の課税権を認めています。この場合、オーストラリアで源泉所得税が課税される場合は、国外源泉所得となります(所法95④十六、所令225の13)。
つまり、所得税時法上も租税条約上も、利息については国外源泉所得の取扱いとなります。
(3)納税義務者ごとの国外預金利息の申告
(1)で記載した納税義務者ごとに、国外預金利息を申告する場合は以下の通りとなります。
・居住者(永住者):全世界所得課税のため、課税所得に含め、申告の必要がある。
・居住者(非永住者):日本に送金をする範囲内において、課税所得に含め、申告をする必要がある。
・非居住者:国外預金利息は申告をする必要がない。
今回は、質問を受けることの多い国外預金の利息の取扱いについて記載をいたしました。
所得税や租税条約など、国によっても取り扱いが異なる場合がございますので、個別具体的な質問がございましたら、お問い合わせフォームからお問い合わせ頂ければと思います。