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外国籍で日本の永住権や配偶者ビザをお持ちの方の相続税申告について
大阪市都島区にございます、相続・国際税務を専門とする村田綜合税務会計事務所です。
今回は、最近特に多い相続税申告について、その中でも外国籍の方(配偶者ビザで日本に住んでいらっしゃる方や永住権をお持ちの方)の相続税の考え方について記載をしたいと思います。
以下、いくつか事例形式にて解説をさせて頂きます。
(1)外国籍である被相続人(永住権で日本に在住)の米国にある財産を、米国在住かつ米国籍の相続人が相続する場合
被相続人が日本に住んでいる限りは、外国籍であっても、基本的には日本にある財産、米国にある財産ともに日本の相続税の対象となります。
ただし、被相続人が「外国人被相続人(相法1条の3③二)」という区分に該当する場合は、日本国内にある財産のみに課税となります。
①外国人被相続人(相法1条の3③二)とは?
相続開始時に一定の在留資格を有するものが「外国人被相続人」となります。ここでいう在留資格というのは、「出入国管理及び難民認定法別表第一の上欄の在留資格(相法1条の3③一)」となっています。
②出入国管理及び難民認定法別表第一の上欄の在留資格とは?
出入国在留管理庁のこちらのページ(https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/qaq5.html)がわかりやすいでしょう。
在留資格が決まっており、外交、公用、教授、芸術、といった在留資格が記載されています。こちらの別表第一の上欄の在留資格で日本に滞在されている方については、「外国人被相続人」となり、日本国内にある財産のみが相続税課税の対象となります。
③被相続人が永住権で日本に滞在している場合はどうなるか?
永住権については、在留資格「永住者」として、「入管法別表第二の上欄の在留資格」で定義されています。つまり、別表第一の上欄の在留資格には該当しませんので、「外国人被相続人」には該当しないこととなります。
つまり、この場合、米国在住かつ米国籍の相続人が相続する米国財産についても、日本の相続税が課税されることになります。
(2)外国籍である相続人(配偶者ビザで日本に在住)が、米国の被相続人から米国財産を相続する場合
このケースは(1)とは反対のケースとなります。
相続人が日本に住んでいる限りは、外国籍であっても、基本的には日本にある財産、米国にある財産ともに日本の相続税の対象となります。
ただし、被相続人が「一時居住者(相法1条の3③一)」という区分に該当する場合は、日本国内にある財産のみに課税となります。
①一時居住者(相法1の3③一)とは?
相続開始時に一定の在留資格を有する者で、相続開始前15年以内の国内居住期間の合計が10年以下であるものが「一時居住者」となります。ここにおいても、「一定の在留資格」は、「出入国管理及び難民認定法別表第一の上欄の在留資格(相法1条の3③一)」となっています。
②相続人が配偶者ビザで日本に滞在している場合はどうなるか?
配偶者ビザについては、在留資格「日本人の配偶者等」として、「入管法別表第二の上欄の在留資格」で定義されています。つまり、別表第一の上欄の在留資格には該当しませんので、「一時居住者」には該当しないこととなります。
つまり、この場合、米国の被相続人から相続する米国財産についても、日本の相続税が課税されることになります。
以上、今回は国際間をまたぐ相続税の事例について、いくつか紹介させて頂きました。
国際相続は納税義務者の判断から複雑となるケースが多く、誤りも非常に多くなる傾向があります。
もし、より具体的な事例でご相談がございます場合は、お問い合わせフォームから村田綜合税務会計事務所までお問い合わせを頂ければと思います。