海外から日本に送金する際の税務上の留意点

2024.12.30  [Mon]

大阪市都島区に事務所を構える、相続・国際税務を専門とする村田綜合税務会計事務所です。
今回は、外国籍の方や、長年海外に住まれた方で、海外に蓄積されたお金を日本に送金される場合の留意点についていくつか記載します。

1.所得税法の「非永住者」に該当する場合

日本に居住されている外国籍の方のうち、過去10年以内に日本国内に住所または居所を有していた期間の合計が5年以下である場合、「非永住者」として扱われます。

非永住者に該当する場合、日本国内で生じた所得の他に、海外で生じた所得(国外源泉所得)についても、送金分について日本国内で課税されることになります。
この点、具体例を挙げますと、以下のようになります。

①海外の所得が1,000、日本への送金額が800の場合
 ⇒800が課税対象となります。

②海外の所得が600、日本への送金額が800の場合
 ⇒600が課税対象となります。

③海外の所得が1,000、日本への送金額が0の場合
 ⇒課税される金額はありません。

よって、海外で不動産を売却されたり、賃貸をされている方などは、日本に送金される際は課税の可能性も考慮の上で、送金の有無を判断される必要があります。

2.円安傾向にある場合

円安傾向にある場合も注意が必要です。
例えば、以下のようなケースです。

①海外で不動産を売却したときよりも、送金時の方が円安となっている
 (例:不動産売却時 1USD=100円、送金時 1USD=150円)

②海外の会社に日本からリモート勤務しており、給料をまとめて日本に送金
 (例:給与支給時 1USD=80円、送金時 1USD=140円)

上記のような場合は、円安に伴う為替の差益が、「雑所得」として確定申告に計上すべきこととなります。
したがいまして、送金を考えられている場合は、収入原資や収入時と比べての為替の状況を考慮して送金を行う必要があります。

また、金融機関等を通じて行う100万円以上の送金については、金融機関から送金者、受領者、本人口座番号、金額、送金目的といった調書が税務署に提出されます。こちらの国外送金等調書をもとに、税務署から「国外送金等に関するお尋ね」が送られてくることや、税務調査が行われることもあるため、注意が必要です。

以上、今回は日本居住者の方が海外から日本に送金する場合の留意点について記載をさせて頂きました。
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