輸入に係る消費税の取扱い

2024.07.31  [Wed]

大阪市都島区で税理士業務を行っています、相続と国際税務に強い村田綜合税務会計事務所です。
今回は、主に貿易業を行う事業者様を念頭に、商品を輸入する際の消費税の取扱いについて解説をしたいと思います。

(1) 概要

税関を通る輸入に関する消費税の考え方も、輸出同様に、関税法が基本となっている。保税地域から引き取られる外国貨物、いわゆる輸入品には、原則として消費税がかかることととなっており、輸入する際の価格競争に対する消費税の中立性を守り、国内業者が競争に不利とならない様、配慮がされている。

この外国貨物を保税地域から引き取る者は、消費税が課されるため、原則としてその引き取りの時までに輸入申告書を提出し、消費税を納付しなければならない(消法4②)。

 

(2) 輸入の定義

関税法における輸入の定義は、「外国から本邦に到着した貨物(外国の船舶により公海で採捕された水産物を含む。)又は輸出の許可を受けた貨物を本邦に(保税地域を経由するものについては、保税地域を経て本邦に)引き取ることをいう」とされている(関税法2①一)。

 

(3) 課税標準

外国貨物の課税標準は、関税定率法第4条以下の規定に準じて計算した、関税課税価格(輸入貨物の課税標準となる価格(課税価格)。Ⅱ.2.において詳述)に消費税以外の個別消費税の額および関税の額に相当する金額を加算した合計額となる(消法28④)。国内取引に係る消費税の課税標準が「取引の対価の額(経済的利益を含む)」とされているところ(消法28①)、輸入消費税に関しては、輸入品を引き取る取引が対価性のない取引(無償取引)であっても、CIF価格等をベースに課税標準が計算されることとされているため、消費税が課税される。

 

(4) 納税義務者

「外国貨物を保税地域から引き取る者」が消費税の納税義務を負う(消法5②)。したがって、免税事業者はもとより、個人事業者でない給与所得者等であっても、輸入品を引き取るときには納税義務者となる。

 

(5) インボイス制度との関係

輸入取引は、資産の譲渡等自体が国外で行われているため、インボイス制度の影響はなく、そのため、税関はインボイスを発行することはない。貨物を保税地域から引き取る時に輸入消費税が課されるものの、税関に納付した消費税は仕入税額控除の対象となる(消法30①)。

 

(6) 手続き

輸入品を保税地域から引き取ろうとする者は、原則として、品名、数量、金額等と消費税額などを記載した申告書を、保税地域を所轄する税関長に提出し、引き取るときまでに消費税を納付しなければならない(消法47)。税関長から交付される輸入許可証は、保税地域に留め置かれている貨物の国内への引き取りに必要であるとともに、仕入税額控除の要件として原則7年間の保存義務がある(消法30⑦⑨五、消令49⑧、50①)。

 

今回は、貿易業を営む方を対象に、輸入に係る消費税について解説をさせて頂きました。
輸入については消費税のほかに、関税も絡んできますが、そちらについてはまた別の回で取り上げたいと思います。
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