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Chat GPTの支払いをした場合の消費税の取扱いについて
大阪市都島区に事務所を構える、相続税と国際税務に強い村田綜合税務会計事務所です。
今回は、今話題のChat GPTに支払をした場合の消費税の取扱いについてまとめました。
1. Chat GPTとは?
ChatGPTは、人工知能の研究開発機関「OpenAI」により開発された、「AIオリジナルのテキストを生成することができる人工知能ツール」で、ユーザーが入力した質問に対して、まるで人間のように自然な対話形式でAIが答えるチャットサービスです。2022年11月に公開されてから、回答精度の高さが話題となり、利用者が増加しています。ユーザーが入力をした質問に答えてもらう他、詩や歌、エッセイ、短編小説、コードなどを書いてもらうこともできます。
2. Chat GPTに使用料の支払いをした場合の消費税の取扱い
①消費税の課税要件
消費税は、「国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等および外国貨物の引取り(輸入取引)」に対して課することとされています。特に、「国内において」という要件ですが、本件の様な取引は、電子通信役務の提供(インターネット等を介して、国内の事業者・消費者に対して行われる電子書籍・広告の配信等のサービスの提供)に該当します。平成27年10月1日以後、こうしたChat GPTの様な国外から行われるサービスについても、消費税が課税されることとされました。
したがって、本件の様なChat GPTへの支払いは、消費税の課税取引として扱われます。
②事業者向け電気通信利用役務の提供か?消費者向け電気通信利用役務の提供か?
事業者向け電気通信利用役務の提供に該当する場合、「リバースチャージ」と呼ばれる、当該役務の提供を受けた国内事業者が、「特定課税仕入れ」として、申告・納税を行います。
一方で、消費者向け電気通信役務の提供に該当する場合、役務の提供を行った事業者が申告・納税を行うこととなりますが、国内事業者が国外事業者から消費者向け電気通信利用役務の提供を受けた場合、当分の間、当該役務の提供に係る仕入税額控除を制限することとされています。但し、国税庁長官の登録を受けた登録国外事業者から受ける消費者向け電気通信利用役務の提供については、その仕入税額控除を行うことができることとされています。
Chat GPTの利用料については、特に契約書で事業目的に縛る等はされていないことから、消費者向け電気通信利用役務の提供に該当します。
③具体的な消費税の取扱い
Chat GPTを運営するOpen AIは2023年4月3日現在登録国外事業者には該当していない(https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shohi/cross/touroku.pdf)ことから、Chat GPTの使用料は消費税の仕入税額控除の対象となりません。
3. インボイス制度導入後の消費税の取扱い
2023年10月1日より、インボイス制度が開始します。インボイス制度導入により、登録国外事業者制度は廃止されます。
令和5年9月1日時点で登録国外事業者だった者については、適格請求書発行事業者の登録を受けたものとみなされます。
2で記載した通り、Open AIは登録国外事業者には登録していないことから、このまま登録をせず、かつインボイスの登録事業者にもならない場合、2023年10月1日以降に支払う利用料も消費税の仕入税額控除対象となりません。
但し、今後インボイスの登録事業者になる場合も考えられますので、引き続き注視が必要です。
なお、令和5年税制改正により、中小事業者が支払う1万円未満の経費については、インボイスの保存がなくても帳簿の保存のみで仕入税額控除ができることとなったため、現在の利用料(月額20ドル(約2,700円))が継続する場合は、中小事業者については消費税の仕入税額控除が出来ることとなります。
以上、最近話題となっているChat GPTにまつわる消費税の取扱いを紹介いたしました。
本件や、インボイス制度など、消費税は複雑な税制となっております。少しでもご相談のある方は、村田綜合税務会計事務所までお問い合わせ下さい。